『(新)ビスティー®鼻炎カプセルL』の特徴・効果・注意点【薬剤師が解説】

『ビスティー鼻炎カプセルL』と『ビスティー鼻炎カプセルL』という2つの製品があるのですが、内容は全く同じです。製造販売元も同じ。包装単位が違うくらいです。ということで、一つの記事にします。
(上の写真の方が『新ビスティー~』になるのですが、箱には「ビスティー鼻炎カプセルL」としか書いてないですね。ややこしい)

「新」が付いてない方は『MKビスティー~』と表記されていたりします。箱に「matsukiyo」と書かれているので、マツモトキヨシのプライベートブランドのようですね。

値段は「新」が付いている方が安いです。全く同じ製品なので「新」の方で良いでしょうね。
内容が同じなのになんで「新」なのか分かりませんけど。

製品の特徴としては、

  • グリチルリチン酸が入っている
  • 7歳から使える
  • 1日2回の服用でいい

という感じです。

ただ内容的には中途半端。買うに値するかどうか、記事を読んで判断していただけたらと思います。

アレルギー性鼻炎で長期使用が前提の場合は、なるべく「第二世代抗ヒスタミン薬だけの製品」にした方が良いかと思います。
※第二世代抗ヒスタミン薬については下の記事にまとめてあります。

他の鼻炎薬については一覧を作ってあるのでこちらを見てみてください。まだ数は少ないですが。
鼻炎薬の一覧表

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記事の内容については公平かつ独立した立場で書かれています。

基本情報

製造販売元:大昭製薬

・主な成分

成分名1日量(15歳以上の)はたらき
プソイドエフェドリン塩酸塩120mg鼻づまりを和らげる
ベラドンナ総アルカロイド0.4mg鼻水や涙を抑える
クロルフェニラミンマレイン酸塩8mg鼻水、くしゃみ、痒みを抑える
グリチルリチン酸45mgのどや鼻の粘膜の炎症を鎮める
無水カフェイン100mg頭痛・頭重感を和らげる
スクロールできます
成分名1日量
(15歳以上の)
はたらき
プソイドエフェドリン
塩酸塩
120mg鼻づまりを和らげる
ベラドンナ
総アルカロイド
0.4mg鼻水や涙を抑える
クロルフェニラミン
マレイン酸塩
8mg鼻水、くしゃみ、痒みを抑える
グリチルリチン酸45mgのどや鼻の粘膜の炎症を鎮める
無水カフェイン100mg頭痛・頭重感を和らげる

・包装

  • 『ビスティー鼻炎カプセルL』(matsukiyoの方)
    • カプセル剤:48カプセル、72カプセル
  • ビスティー鼻炎カプセルL』
    • カプセル剤:24カプセル、48カプセル

各成分の効果・注意点

『(新)ビスティー鼻炎カプセルL』の主要成分について、それぞれの効果と注意点を簡単にまとめています。

各成分名をタップ・クリックするとそれぞれの成分の簡単な解説記事にいきます。

  1. プソイドエフェドリン塩酸塩
    • 鼻の粘膜の血管を収縮させることで充血をとり、鼻づまりを改善します。
    • 血圧上昇や頻脈などが現れることがあります。心疾患のある方は注意が必要です。
    • 閉塞隅角緑内障や前立腺肥大などの疾患を持つ方も注意してください。
    • 濫用等のおそれのある医薬品」に指定されています。
  2. ベラドンナ総アルカロイド
    • 抗コリン作用により鼻水や涙を抑えます。
    • 閉塞隅角緑内障や前立腺肥大などの疾患を持つ方は注意を。
    • 口の渇きや便秘が起こりやすいです。
  3. クロルフェニラミンマレイン酸塩
    • 鼻水やくしゃみ、痒みを抑えますが、鼻づまりにはあまり効きません。
    • 特に眠気には注意してください。
    • 抗コリン作用により、眼圧上昇や排尿困難などの副作用が出る可能性があります。
  4. グリチルリチン酸
    • 抗アレルギー・抗炎症作用があり、のどや鼻の粘膜の炎症をしずめる目的で配合されています。
    • 低カリウム血症に注意。だるさや痺れ、こむら返りや麻痺などがあったら中止して受診してください。
    • 甘草(カンゾウ)が入っている漢方薬を飲んでいる方は注意を。
  5. 無水カフェイン
    • 血管拡張性の頭痛や片頭痛の症状をやわらげます。
    • 覚醒作用があるので眠気防止にも。
    • 副作用として、不眠や振戦(手の震え)、動悸、めまいなどがあります。

他の成分の薬を探してる方はこちらから。
成分の一覧表

使い方(用法・用量)

年齢1回の服用量1日の服用回数
15歳以上2カプセル2回(朝・夕)
7~14歳1カプセル2回(朝・夕)

食後の指定はありません。

15歳以上の方でも眠気や口渇などが気になる人は、1回1カプセルにしたり1日1回にするなど調節してみてください。

7歳未満の方は服用しないでくださいとのことです。

製品全体としての注意点

注意してほしいこと

いくつか注意点を書いておきます。

  • 高血圧・心臓病・甲状腺機能障害・糖尿病・前立腺肥大による排尿障害のある方は禁忌となっています。
    • プソイドエフェドリンによってこれらの症状が悪化する可能性があります。
    • 一時的に使用する分にはそれほど問題ないと思いますが、この製品の添付文書では禁忌になっているので注意してください。
  • 眠気に注意:眠気が出る可能性があるので注意してください。
    • 服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないでください」となっています。ただ、全然眠くならない方もいるのでそういう方は問題ないですね。
  • モノアミン酸化酵素(MAO)阻害薬を服用中の方:交感神経刺激作用が強く出て、血圧上昇などが起こる場合があります。
    • MAO阻害薬はパーキンソン病の治療に使われる薬です(「セレギリン」「エフピー」「アジレクト」など)。
    • 併用禁忌ではありませんが、血圧上昇や頻脈などあるなら減量・中止してください。
  • 漢方薬服用中の方:グリチルリチン酸は甘草(カンゾウ)という生薬に含まれる成分ですが、過剰摂取で偽アルドステロン症の副作用が出る場合があります。漢方薬を服用中の方は注意してください。
    • カンゾウが入っていない漢方薬であれば問題ありません。
    • グリチルリチン酸カンゾウの解説記事にカンゾウが含まれる漢方薬(109種類)を載せているので、気になる方は見てみてください。
  • 抗コリン作用:口の渇きや目のかすみ、眼圧上昇、排尿困難、便秘などの症状が出る可能性があります。
    • 気になる方は抗コリン薬の入っていない製品を選ぶと良いでしょう。
      (抗コリン薬:ベラドンナ総アルカロイド、ヨウ化イソプロパミドなど)
  • 服用期間:「長期連用しないでください」となっています。
    • 5~6日飲んでみても効果が実感できなければやめた方が良いと思います。 
    • 抗ヒスタミン薬だけなら問題ないのですが、血管収縮剤は長期で服用するものではありません。鼻づまりがひどい時だけピンポイントで使う方が良いでしょう。
    • 病院で処方してもらった方が安く済む場合も多いので、アレルギー性鼻炎で長期服用が前提なら受診した方が良いかと思います。

合ってないなと感じたらやめた方が良いと思います。他にも選択肢はあります。

妊娠・授乳中の使用について

大事な事ですが、対象者が限られるため折り畳みにしておきます。

クリック・タップで開きます。

妊娠中の方

この製品の説明書では
服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください
という書き方になっています。

プソイドエフェドリンBriggs基準:リスク5「原則として妊娠中の投与は避けることが望ましい」となっています。

ただし、この成分が入っている医療用医薬品の「ディレグラ」では、「妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること」という記載になっています。
また、「妊娠初期に塩酸プソイドエフェドリンを服薬した母親の940例の出生児に奇形発生の危険率は増加していない」というデータもあります。(参考 :Prescribing medicines in pregnancy 4th edition)

ただ、「胎盤血管収縮および腹壁破裂のリスクの可能性」があるとの記載があるものもあります。(MSDマニュアル)

あとグリチルリチン酸ですが、医療用のグリチロンの添付文書には「グリチルリチン酸一アンモニウムを大量投与したときの動物実験(ラット)において腎奇形等が認められている」との記載があります。
ただ、この製品に入っている量であればまず問題はないかと思います。

ベラドンナ総アルカロイドによって胎児が頻脈を起こす可能性もありますが、これは量が少なめなのであまり心配は要らないかと思います。

鼻水・鼻づまりがひどいなら点鼻薬目のかゆみや涙が出るなら点眼薬、という選択肢もあります。

服用するにしても短期間の使用にとどめておいた方が無難だとは思います。
原則として、妊娠している方は市販薬を使わず、受診して医師に薬を処方してもらった方が良いと思います。
(というか、必ず受診してください)

授乳中の方

この製品の説明書では
服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください
という書き方になっています。

ただ、それほど問題はないと考えます。

Mothers’ Milk基準では、この製品中の成分で一番リスクの高いもので、

  • プソイドエフェドリン
  • クロルフェニラミン
  • ベラドンナ総アルカロイド

の3つが「L3(概ね適合)」となっています。

「多くの薬は母親が飲んだ量の1%未満しか母乳中に移行しない」という事を考えると過剰な心配はいらないかと思います。

心配であれば授乳後に薬を服用すると良いでしょう。次の授乳までに薬はかなり分解されてます。
6~8時間程度時間を空けて、服用できるタイミングで服用してください。

また、ベラドンナ総アルカロイドは乳汁の分泌を抑えてしまう可能性があります。
入ってる量が少ないので問題ないかとは思いますが。

心配な方は、薬を服用中は粉ミルクを使うという手もあります。

妊娠・授乳中の薬物治療に関して不安を持つ方も多いかと思います。
そういう方の相談に乗ってくれる機関があるのでそこのサイトのリンクを貼っておきます。
妊娠と薬情報センター:https://www.ncchd.go.jp/kusuri/index.html

製品の特徴や利点、個人的な感想

この製品の特徴は、

  • グリチルリチン酸が入っている
  • 7歳から使える
  • 1日2回の服用でいい

といったところでしょうか。

グリチルリチン酸は、医療用では鼻炎に使うことはありません。効果が全くないか?と言われると何とも言えないですけど。
一応、抗アレルギー作用はあるのですが、適応は皮膚炎などに対してですね。
使うとしても1回50~75mg・1日3回(1日150~225mg)なので、1日45mgだと少なすぎて効果は期待できないでしょう。

7歳から使えるのは良いですね。鼻炎薬は15歳以上限定のものも多いですし。

1日2回の服用でいいのは楽なのですが、1日あたりの成分量が少なくなりがちです。
例えば下の3つの成分ですが、

成分名この製品の1日量鼻炎薬の最大1日量
プソイドエフェドリン120mg180mg
クロルフェニラミン8mg12mg
ベラドンナ総アルカロイド0.4mg0.6mg
成分名この製品
の1日量
鼻炎薬の
最大1日量
プソイドエフェドリン120mg180mg
クロルフェニラミン8mg12mg
ベラドンナ
総アルカロイド
0.4mg0.6mg

となっています。
すべて最大量の3分の2ですね。1日2回タイプのデメリットですね。

効果が弱いと感じるなら1日3回にしても良いかもですね。立場上おすすめはできませんけど。

抗ヒスタミン薬・血管収縮剤・抗コリン薬が市販の鼻炎薬として最大量入っている製品もあるので、そういうのを検討してみるもの良いでしょうね。
例えば下の製品は、上記3つが鼻炎薬として最大量配合されています。また、カンゾウが1日1,200mg入っていて、これはグリチルリチン酸だと約48mgに相当します。
純粋に『(新)ビスティー鼻炎カプセルL』の成分量を多くしたもの、と考えて良いと思います。

どちらにしても、血管収縮剤の入っている製品は長期間の使用はおすすめしません。

アレルギー性鼻炎には第二世代抗ヒスタミン薬を使うのが基本となります。
それだけでは症状が治まらないときだけこういう製品を頓用で使用する、という使い方であれば良いかと思います。

市販薬の場合、「本剤を服用中は他の鼻炎薬等を使用しないで」となっていますが、症状がひどい時は一時的に複数の抗ヒスタミン薬を使うことはよくあります。

使用した方の口コミ・レビュー、値段など

「ものログ」というサイトの口コミです。

良い評価としては、

「鼻風邪だったけど一錠飲んだだけでピタッと止まった」
「辛いくしゃみがまあまあ止まった」
「1日2回なので、長時間効果がある」

といった具合。

否定的な意見としては、

「効いているような、いないような…」
「飲んだ後ちょっと眠くなった」
「あまり効き目はない」

といった感じ。

評価はまあまあ。効かない人もいれば効く人もいる、という感じ。当たり前ですけど。

抗ヒスタミン薬はいろいろありますが、人によって効き方が全然違います。
ただ、この製品は単純に成分量自体が少なめというだけかもしれませんね。

成分量が多いものを試してもダメなようなら、違う抗ヒスタミン薬を試してみると良いでしょう。
ただ、第一世代の抗ヒスタミン薬を含む鼻炎薬はほとんどがクロルフェニラミンなので、探すのがちょっと難しいかもしれません。

値段について

メーカーの希望小売価格(税込)を見ると、
『ビスティー鼻炎カプセルL』は

48カプセル2,198円
72カプセル3,058円

ということでした。
『新ビスティー鼻炎カプセルL』の方は不明でした。オープン価格?

Yahooショッピング(送料含まず)で見てみると、
『ビスティー鼻炎カプセルL』は

包装値段1日分に換算
48カプセル2,198円183円
72カプセル3,058円170円

※1日分のは1日4カプセルで計算
※2025年3月時点です。

希望小売価格と同じですね。

『新ビスティー鼻炎カプセルL』は

包装値段1日分に換算
24カプセル500~900円83~150円
48カプセル1,278円107円

※1日分のは1日4カプセルで計算
※2025年3月時点です。

こんな感じでした。Amazonとか楽天だとまた違うと思いますけど。
というか、Amazonでは「新」の方は売ってませんでした。Yahooと楽天には両方ありました。

「新」が付いてない方はどこも値段は同じですね。希望小売価格のままです。今どきそんなのあるんですね。
そもそもあまり販売されてない感じです。

値段としては、他の鼻炎薬と比べてもそれほど高くはないと思います。「新」の方は安め。
2製品とも内容は全く同じなので安い方で良いかと思います。この製品にこだわる必要もないと思いますが。

この記事を読んでそれでも「買おうかな?」と興味を持たれた方へ
※『ビスティー鼻炎カプセルL』の方しかアフィリエイト広告がなかったのでこちらだけ貼っておきます。
『新ビスティー~』の方はYahooと楽天では販売されているので検索してみてください。

まとめ

この記事では『(新)ビスティー鼻炎カプセルL』について、各成分の効果と注意点、個人的な感想、使用者のレビューなどをご紹介しました。

この製品の特徴は、

  • グリチルリチン酸が入っている
  • 7歳から使える
  • 1日2回の服用でいい

といったところでしょうか。

ただ、グリチルリチン酸には鼻炎への効果は期待しない方が良いでしょう。量も少ないし。

こどもでも使えるのは良いと思います。カプセルが飲めるなら悪くないですね。

1日2回の服用で良いのはメリットもありますが、1日あたりの成分量が少なくなるというデメリットがあります。
もちろん、この量で丁度良いのであれば問題ないかと思います。

ただ、全体的に中途半端。成分量は他の製品と比べても少なめです。

使うにしても長期の使用には向きません。できれば症状がひどい時だけ頓用で使用するようにしてください。

アレルギー性鼻炎の場合は長期使用が前提になるかと思いますが、長期使用の場合はなるべく「第二世代抗ヒスタミン薬だけの製品」にした方が良いかと思います。
「第二世代が効かない」「鼻づまりがひどい」という時だけ「第一世代を使ってみる」「血管収縮剤を使う」という事をしてみてください。

※第二世代抗ヒスタミン薬については下の記事にまとめてあります。

他の鼻炎薬については一覧を作ってあるのでこちらを見てみてください。まだ数は少ないですが。
鼻炎薬の一覧表

鼻炎の症状で悩まされる方々にとって、この情報が少しでもお役に立てば幸いです。

ただし、ご紹介した内容は一般的な情報に基づいており、個々の体調や症状によって適切な対応は異なる場合があります。

効果を感じられない場合や、症状が改善しない場合は、適切な医療機関を訪れることをお勧めします

上の方でも紹介しましたが、再度リンクを貼っておきます
※『ビスティー鼻炎カプセルL』のみ。

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