
この製品の特徴は、
- 7歳から使える
- グリチルリチン酸が入っている
といったところでしょうか。
それ以外は特別変わったところはありません。バランスが良く使いやすそうですね。
グリチルリチン酸はどうでも良いですけど。
あと、鼻炎薬はカプセルタイプが多いのですが、これは錠剤になっています。カプセルが苦手な方でもOK。
この製品の問題は「手に入りにくい」ということでしょうか(2025年3月時点)。記事を書いてから分かりました。
ということで、製品の写真もありません。すみません。
似たような薬は他にあるので、これが好きな方もしばらくは違う製品で凌いでください。
(一応、代替薬についても書いてます)

基本情報
・製造販売元:皇漢堂製薬
・主な成分
成分名 | 1日量(15歳以上の) | はたらき |
---|---|---|
d-クロルフェニラミンマレイン酸塩 | 6mg | 鼻水、くしゃみ、痒みを抑える |
ベラドンナ総アルカロイド | 0.4mg | 鼻水や涙を抑える |
プソイドエフェドリン塩酸塩 | 150mg | 鼻づまりを和らげる |
無水カフェイン | 120mg | 頭痛・頭重感を和らげる |
グリチルリチン酸二カリウム | 40mg | のどや鼻の粘膜の炎症を鎮める |
成分名 | 1日量 (15歳以上の) | はたらき |
---|---|---|
d-クロルフェニラミン マレイン酸塩 | 6mg | 鼻水、くしゃみ、痒みを抑える |
ベラドンナ 総アルカロイド | 0.4mg | 鼻水や涙を抑える |
プソイドエフェドリン 塩酸塩 | 150mg | 鼻づまりを和らげる |
無水カフェイン | 120mg | 頭痛・頭重感を和らげる |
グリチルリチン酸 二カリウム | 40mg | のどや鼻の粘膜の炎症を鎮める |
・包装
錠剤:48錠、96錠
(PTP包装)
各成分の効果・注意点
『鼻炎薬A「クニヒロ」』の主要成分について、それぞれの効果と注意点を簡単にまとめています。
- d-クロルフェニラミンマレイン酸塩
- 鼻水やくしゃみ、痒みを抑えますが、鼻づまりにはあまり効きません。
- 特に眠気には注意してください。
- 抗コリン作用により、眼圧上昇や排尿困難などの副作用が出る可能性があります。
- ベラドンナ総アルカロイド
- 抗コリン作用により鼻水や涙を抑えます。
- 閉塞隅角緑内障や前立腺肥大などの疾患を持つ方は注意を。
- 口の渇きや便秘が起こりやすいです。
- プソイドエフェドリン塩酸塩
- 鼻の粘膜の血管を収縮させることで充血をとり、鼻づまりを改善します。
- 血圧上昇や頻脈などが現れることがあります。心疾患のある方は注意が必要です。
- 閉塞隅角緑内障や前立腺肥大などの疾患を持つ方も注意してください。
- 「濫用等のおそれのある医薬品」に指定されています。
- 無水カフェイン
- 血管拡張性の頭痛や片頭痛の症状をやわらげます。
- 覚醒作用があるので眠気防止にも。
- 副作用として、不眠や振戦(手の震え)、動悸、めまいなどがあります。
- グリチルリチン酸二カリウム
- 抗アレルギー・抗炎症作用があり、のどや鼻の粘膜の炎症をしずめる目的で配合されています。
- 低カリウム血症に注意。だるさや痺れ、こむら返りや麻痺などがあったら中止して受診してください。
- 甘草(カンゾウ)が入っている漢方薬を飲んでいる方は注意を。
使い方(用法・用量)
年齢 | 1回の服用量 | 1日の服用回数 |
---|---|---|
15歳以上 | 2錠 | 3回 |
7~14歳 | 1錠 | 3回 |
食後の指定はありません。飲みやすいタイミングで飲んでOKですね。
「1日3回」となっていますが、症状がある時だけ使う(頓用)というのでも良いかと思います。
「1日3回まで」ですね。
7歳未満の方は服用しないでくださいとのことです。
製品全体としての注意点
注意してほしいこと
いくつか注意点を書いておきます。
- 高血圧・心臓病・甲状腺機能障害・糖尿病・前立腺肥大による排尿障害のある方は禁忌となっています。
- プソイドエフェドリンによってこれらの症状が悪化する可能性があります。
- 一時的に使用する分にはそれほど問題ないと思いますが、この製品の添付文書では禁忌になっているので注意してください。
- 眠気に注意:眠気が出る可能性があるので注意してください。
- 「服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないでください」となっています。ただ、全然眠くならない方もいるのでそういう方は問題ないですね。
- モノアミン酸化酵素(MAO)阻害薬を服用中の方:プソイドエフェドリンの作用が強く出て、血圧上昇などが起こる場合があります。
- MAO阻害薬はパーキンソン病の治療に使われる薬です(「セレギリン」「エフピー」「アジレクト」など)。
- 併用禁忌ではありませんが、血圧上昇や頻脈などあるなら減量・中止してください。
- 抗コリン作用:口の渇きや目のかすみ、眼圧上昇、排尿困難、便秘などの症状が出る可能性があります。
- 気になる方は抗コリン薬の入っていない製品を選ぶと良いでしょう。
(抗コリン薬:ベラドンナ総アルカロイド、ヨウ化イソプロパミドなど)
- 気になる方は抗コリン薬の入っていない製品を選ぶと良いでしょう。
- 漢方薬服用中の方:グリチルリチン酸は甘草(カンゾウ)という生薬に含まれる成分ですが、過剰摂取で偽アルドステロン症の副作用が出る場合があります。漢方薬を服用中の方は注意してください。
- 服用期間:「長期連用しないでください」となっています。
- この製品の添付文書にも書いてますが、5~6日飲んでみても効果が実感できなければやめた方が良いと思います。
- 抗ヒスタミン薬だけなら問題ないのですが、血管収縮剤は長期で服用するものではありません。鼻づまりがひどい時だけピンポイントで使う方が良いでしょう。
- 病院で処方してもらった方が安く済む場合も多いので、アレルギー性鼻炎で長期服用が前提なら受診した方が良いかと思います。
合ってないなと感じたらやめた方が良いと思います。他にも選択肢はあります。
妊娠・授乳中の使用について
大事な事ですが、対象者が限られるため折り畳みにしておきます。
クリック・タップで開きます。
妊娠中の方
この製品の説明書では
「服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください」
という書き方になっています。
プソイドエフェドリンはBriggs基準:リスク5「原則として妊娠中の投与は避けることが望ましい」となっています。
ただ、この成分が入っている医療用医薬品の「ディレグラ」では、「妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること」という記載になっています。
また、「妊娠初期に塩酸プソイドエフェドリンを服薬した母親の940例の出生児に奇形発生の危険率は増加していない」というデータもあります。(参考 :Prescribing medicines in pregnancy 4th edition)
ただ、「胎盤血管収縮および腹壁破裂のリスクの可能性」があるとの記載があるものもあります。(MSDマニュアル)
あとグリチルリチン酸ですが、医療用のグリチロンの添付文書には「グリチルリチン酸一アンモニウムを大量投与したときの動物実験(ラット)において腎奇形等が認められている」との記載があります。
ただ、この製品に入っている量であればまず問題はないかと思います。
ベラドンナ総アルカロイドによって胎児が頻脈を起こす可能性もありますが、これは量が少なめなのであまり心配は要らないかと思います。
鼻水・鼻づまりがひどいなら点鼻薬、目のかゆみや涙が出るなら点眼薬、という選択肢もあります。
服用するにしても短期間の使用にとどめておいた方が無難だとは思います。
原則として、妊娠している方は市販薬を使わず、受診して医師に薬を処方してもらった方が良いと思います。
(というか、必ず受診してください)
授乳中の方
この製品の説明書では
「服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください」
という書き方になっています。
ただ、それほど問題はないと考えます。
Mothers’ Milk基準では、この製品中の成分で一番リスクの高いもので、
- プソイドエフェドリン
- クロルフェニラミン
- ベラドンナ総アルカロイド
の3つが「L3(概ね適合)」となっています。
「多くの薬は母親が飲んだ量の1%未満しか母乳中に移行しない」という事を考えると過剰な心配はいらないかと思います。
心配であれば授乳後に薬を服用すると良いでしょう。次の授乳までに薬はかなり分解されてます。
4時間程度時間を空けて、服用できるタイミングで服用してください。
また、ベラドンナ総アルカロイドは乳汁の分泌を抑えてしまう可能性があります。
入ってる量が少ないので問題ないかとは思いますが。
心配な方は、薬を服用中は粉ミルクを使うという手もあります。
製品の特徴や利点、個人的な感想
この製品の特徴は特にありません。7歳から使える、という事くらいでしょうか。
グリチルリチン酸が入っていますが補助的ですね。
成分構成としては標準的です。プソイドエフェドリンがやや多めでしょうか。
成分名 | この製品の1日量 | 鼻炎薬の最大1日量 |
---|---|---|
d-クロルフェニラミン | 6mg | 6mg |
ベラドンナ総アルカロイド | 0.4mg | 0.6mg |
プソイドエフェドリン | 150mg | 180mg |
成分名 | この製品 の1日量 | 鼻炎薬の 最大1日量 |
---|---|---|
d-クロルフェニラミン | 6mg | 6mg |
ベラドンナ 総アルカロイド | 0.4mg | 0.6mg |
プソイドエフェドリン | 150mg | 180mg |
プソイドエフェドリンは鼻炎薬には1日180mg配合できますが、180mg入っている製品はそれほどありません。
1日120mg配合しているものが多いですね。なので150mgは若干多めな方です。
クロルフェニラミンは眠気が少なめとされる「d-体」の方です。
医療用では1回2mgなので、この製品は医療用と同じですね。
(医療用の徐放錠は1回6mgですが)
クロルフェニラミンとベラドンナ総アルカロイドの両方が最大量入っている製品もあるので、鼻水を抑える目的であればそういう製品の方が効果はあると思います。
この製品は抗コリン薬を控えめにしている分、血管収縮剤を多くしてる感じでしょうか。
といっても、抗コリン薬も一般的な風邪薬に入っている量よりは多いです。
(風邪薬には1日0.3mgまでしか配合できません)
バランスは悪くないと思います。
風邪のときでも症状が鼻水・鼻づまりだけであれば、こういう製品を使うのも良いでしょう。
また、この製品の血管収縮剤はプソイドエフェドリンです。フェニレフリンと違って効果はあるとされています。
グリチルリチン酸に関しては、この量だとあまり効果は期待しない方が良いでしょうね。
製品の説明書には「鼻粘膜の炎症をおさえ」と書いてますが、通常そういう使い方はしませんし。
アレルギー性鼻炎には第二世代抗ヒスタミン薬を使うのが基本となります。
でもそれを使いながらも、仕事中や外出先で急に鼻水が止まらなくなったり、鼻づまりが悪化した時などにこういう製品を頓用として使うには便利かと思います。
使用した方の口コミ・レビュー、値段など
「ものログ」というサイトの口コミです。
良い評価としては、
といった具合。
否定的な意見としては、
といった感じ。
評価はかなり高めですね。
「鼻水が止まる」「鼻の通りが良くなる」と。
あと、コスパが良いという意見が多いですね。
1日1回や2回にしてる、という人が何人かいました。それでも人によっては十分のようですね。
第二世代抗ヒスタミン薬は基本ではあるのですが、効果がちょっと弱いと感じることも多いと思います。
症状がひどいときには、こういう第一世代や抗コリンが入ったものを一時的に併用するのも良いでしょう。
ただ、やっぱり眠気や注意力の低下、口渇は出やすいので注意してください。
あと、レビューの数がとても多かったです。人気あるのかな?
値段について
メーカーのサイトを見ると「オープン価格」とのことでした。
で、ネットでの値段を調べようとしたのですが…売ってないですね。
メーカーのサイトでも「諸般の事情により安定的に製品を供給できない状況が続いており~」と書かれており、現在出荷できてないようです(2025年3月時点)。残念。
口コミでは「(48錠のが)ネットで500円以下で買える」という事が書かれていました。
48錠だと、1回2錠・1日3回使ったとしても1日あたり83円くらい。安いですね。
同じ価格帯での代替品だと、今まで書いた中では『セピー鼻炎ソフトN』が候補に挙がると思います。
成分の比較をしてみると、
成分名 | 鼻炎薬A「クニヒロ」 | セピー鼻炎ソフトN |
---|---|---|
d-クロルフェニラミン | 6mg | 6mg |
ベラドンナ総アルカロイド | 0.4mg | 0.6mg |
プソイドエフェドリン | 150mg | 120mg |
成分名 | 鼻炎薬A 「クニヒロ」 | セピー鼻炎 ソフトN |
---|---|---|
d-クロルフェニラミン | 6mg | 6mg |
ベラドンナ 総アルカロイド | 0.4mg | 0.6mg |
プソイドエフェドリン | 150mg | 120mg |
こんな感じ。
『セピー』の方はグリチルリチン酸が入ってませんが、ほぼ関係ないので気にしなくて良いでしょう。
純粋に上の表の3つの比較で良いと思います。
『セピー』の方がベラドンナ総アルカロイドの量が多く、「鼻水を抑える」という事だと『セピー』の方が強いですね。その代わり、鼻づまりへの効果は少し弱めです。
『セピー』の値段ですが、安いのだと1日あたり81円くらいのものがあります。
コストで見ると同じくらいですね。
Amazon、Yahoo、楽天に在庫があることは確認しています。(2025年3月10日時点)
興味のある方はこちらの記事を読んでみてください。

まとめ
この記事では『鼻炎薬A「クニヒロ」』について、各成分の効果と注意点、個人的な感想、使用者のレビューなどをご紹介しました。
特徴としては、
- 7歳から使える
- グリチルリチン酸が入っている
という感じでしょうか。グリチルリチン酸は量が少ないので効果は何とも言えませんけど。
抗ヒスタミン薬は最大量、血管収縮剤も多めです。抗コリン薬も一般的な風邪薬より多いです。
鼻炎薬としてのバランスは良いかと思います。
抗コリン薬が多すぎると副作用が気になる方もいるでしょうしね。
血管収縮剤もちゃんとプソイドエフェドリンです。
ただ、長期の使用には向きません。できれば症状がひどい時だけ頓用で使用するようにしてください。
アレルギー性鼻炎の場合は長期使用が前提になるかと思いますが、長期使用の場合はなるべく「第二世代抗ヒスタミン薬だけの製品」にした方が良いかと思います。
「第二世代が効かない」「鼻づまりがひどい」という時だけ「第一世代を使ってみる」「血管収縮剤を使う」という事をしてみてください。
※第二世代抗ヒスタミン薬については下の記事にまとめてあります。

鼻炎の症状で悩まされる方々にとって、この情報が少しでもお役に立てば幸いです。
ただし、ご紹介した内容は一般的な情報に基づいており、個々の体調や症状によって適切な対応は異なる場合があります。
効果を感じられない場合や、症状が改善しない場合は、適切な医療機関を訪れることをお勧めします。
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