「カルビノキサミン」の解説 
作用・使用上の注意・製品一覧

「カルビノキサミン」についての簡単な解説です。

目次

カルビノキサミンを含む市販薬の製品一覧

解説記事を書いたことのある製品を載せています。

※ここでご紹介している製品がすべてではありません。
あと、すでに製造中止になっている製品もあるかもしれません。
そのへんはご了承くださいますようお願い申し上げます。

鼻炎薬(飲み薬)

クリック・タップで開きます。

製品名をクリック・タップすると、その製品の解説記事にいきます。

製品名1日あたりの成分量
パブロン鼻炎カプセルSα12mg

鼻炎用内服薬に配合できる最大用量は1日あたり

  • マレイン酸カルビノキサミン:16mg
  • ジフェニルジスルホン酸カルビノキサミン:7.5mg

となっています。
(「鼻炎用内服薬の製造販売承認基準について」より)

分類・作用機序

マレイン酸カルビノキサミンの化学構造式

KEGG DRUGより

分類

第一世代抗ヒスタミン薬H1受容体拮抗薬)」となります。

抗ヒスタミン薬には第一世代と第二世代がありますが、1983年以降に発売されたものが第二世代となります。

ヒスタミンの受容体はH1~H4が知られていますが、この系統の薬はH1受容体の働きを抑えます。
(H2受容体遮断は胃薬、H3受容体遮断は眩暈に使ったりします)

単に「抗ヒスタミン薬」といった場合は、通常はこの「H1受容体拮抗薬」の事をいいます

作用機序

花粉などのアレルゲンがマスト細胞などを刺激すると、そこからヒスタミンという物質が出てきます。

そのヒスタミンが気管支や血管の平滑筋、血管内皮細胞、知覚神経などにあるH1受容体にくっつくと、鼻水やくしゃみ、かゆみなどのアレルギー症状が出てきます。

抗ヒスタミン薬はこのH1受容体を競合的にブロックします。
図にするとこんな感じ。

きつね作です。

H1受容体はヒスタミンがなくてもある程度活性化しているのですが、抗ヒスタミン薬は逆作動薬(インバース・アゴニスト)として、この働きも抑えます。

効果や使用方法

効果

鼻水くしゃみかゆみなどのアレルギー症状を緩和します。

ただ、鼻づまりには効果はほぼありません。
第二世代の方は鼻づまりにも多少効果があるとされています(弱いと思いますけど)。

また、第一世代特有ですが、抗コリン作用、抗嘔吐作用、中枢神経作用、局所麻酔作用などがありますね。

抗コリン作用」は、抗ヒスタミン薬では基本的に副作用として扱われます。
鼻水や涙を抑える効果がある一方で、口が渇いたり、便秘、排尿がしづらくなる、眼圧が上がるといった作用があります。

※ただし、鼻水の分泌抑制を目的として、あえて抗コリン薬を配合している風邪薬や鼻炎薬もあります。

補足:マレイン酸カルビノキサミンの効果を研究した資料がありました。
1976年の研究なのでかなり古いものではありますが、興味のある方は読んでみてください。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/orltokyo1958/20/5/20_5_722/_pdf/-char/ja

この資料によると、マレイン酸カルビノキサミン単独での有用性は65.3%となっていますが、これに血管収縮剤を加えたものは76.6%となっています。

血管収縮剤は、鼻粘膜の充血をとることで鼻づまりを解消するものです。
例えば『パブロン鼻炎カプセルSα』は血管収縮剤として「プソイドエフェドリン」が入っています。

抗ヒスタミン薬は鼻水は抑えますが、鼻づまりにはほぼ効果がありません。
血管収縮剤と合わせて使うと鼻水・鼻づまりの両方に効果的ではあります。

ただ、血管収縮剤は長期連用するものではありません。鼻づまりがひどい時だけ使うようにした方が良いでしょうね。

医療用の使用例

医療用では存在しません。
(2008年の本を見ても載ってませんでした。元々存在しない?)

通常、特に理由がない限りは第二世代を使います。
第一世代が使われるのは、第二世代が効かない場合もしくは蕁麻疹などすぐに症状を抑えたい場合でしょうか。

第一世代の抗ヒスタミン薬だと、一番使われるのは「d-クロルフェニラミン」だと思います。

用法・用量

市販の鼻炎用内服薬だと、1日あたり

  • マレイン酸カルビノキサミン:16mg
  • ジフェニルジスルホン酸カルビノキサミン:7.5mg

が最大用量となっています。

風邪薬の場合は、1日あたり

  • マレイン酸カルビノキサミン:7.5mg
  • ジフェニルジスルホン酸カルビノキサミン:7.5mg

が最大用量となっていて、2つの量が同じとなっています。

ただ、おそらくですが日本では「マレイン酸カルビノキサミン」の製品しか存在しません

この成分は医療用医薬品がないので比較はできないのですが、「日本製薬団体連合会」というところが資料を出してくれていました。
それによると、マレイン酸カルビノキサミンについては

・経口:通常成人1回4mgを1日3~4回経口
・徐放性製剤:通常成人1回8mgを1日1~2回経口

とのことです。
(「徐放性製剤」とは、薬がゆっくりと放出されるように設計されたものです。「経口」の方はそういう製剤工夫がなされてないものでしょうか)

1日8~16mgとなりますね。

使用上の注意点

医療用の薬が存在しないため、第一世代抗ヒスタミン薬全般的な注意事項を書かせてもらいます。

禁忌

抗コリン作用により眼圧が上昇したり、排尿困難や尿閉などが現れることがあるので、
閉塞隅角緑内障
・前立腺肥大等下部尿路に閉塞性疾患
のある方には通常は禁忌となっています。

と言っても、この2つの疾患を持ってる方は大体治療されているので大丈夫な場合が多いです。
主治医に訊いてみてください。

開放隅角緑内障では基本的には禁忌とはなりませんが、状態によっては抗コリン作用によって隅角閉塞が起こる可能性も否定できません。一応慎重に。

副作用

出やすい副作用としては
眠気
口渇
があります。

⚠️特に眠気には注意してください
この成分が入っている薬は基本的には
服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないでください」と記載があるはずです。

ただ、すごく個人差が大きいので何ともない人は本当に何ともありません。
それでも最初に飲んだ時は注意してください。

口渇については特に問題にはならないですが、結構カラッカラになって不快です。

相互作用

医療用の薬がないため詳しい事は分かりません。すみません。
ここでは代表的な第一世代抗ヒスタミン薬の「クロルフェニラミン」の併用注意を載せておきます。
系統としては同じになるので、相互作用も似たものになります。

スクロールできます
薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
中枢神経抑制剤
 バルビツール酸誘導体
 プリミドン
アルコール
MAO阻害剤
抗コリン作用を有する薬剤
 チキジウム臭化物
 アトロピン硫酸塩水和物
 ブチルスコポラミン臭化物
相互に作用を増強することがあるので、併用する場合には、減量するなど慎重に投与すること。中枢神経抑制剤、アルコール:本剤の中枢抑制作用により、作用が増強される。

MAO阻害剤:本剤の解毒機構に干渉し、作用を遷延化し増強することがある。
ドロキシドパ
ノルアドレナリン
併用により血圧の異常上昇を来すおそれがある。本剤はヒスタミンによる毛細血管拡張を抑制する。

なんか眠いな~、ふらふらするな~と感じたら市販薬の量を減らして様子をみてください。

他の成分についてはこちらから。
成分の一覧表

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次